秘密兵器

殺人的暑さの町を離れて涼しいであろう渓へ行ってしまいます。涼しいだけではなく、ネイティブなアメゴ達が癒してくれるはず。きっと。
朝から全開のセミの声から逃れる様に車を走らせ一路、渓へ。
あっ、偏光グラスを忘れた。まあ、良いや。きっと水はクリアだろう。
途中で鮎の川を覗いてみれば、誰一人いない。暑いから。この炎天下に鮎釣りは過酷なのでしょう。やはり渓です。木々のトンネルの中で美しい渓魚達と遊ぶ。最高です。きっと。
唯一の不安要素は先行者ですが、多分大丈夫だと思います。この界隈で、この暑さの中で、渓に行く様な物好きは僕だけです。楽しいのにね。
予想通り誰もいない。頂いた様なもの。入渓点はここだけ。分かりやすい。
支度をする間に汗だく。早く渓に行かなくては。何かに追われる様に入渓。したけど、涼しいんだろうか。汗がひかない。
手を水に浸してしばし待つ。漸く、時間が変わり、汗もひいていく。せっかくの渓なのに何を焦っているのか。
木々の隙間から太陽がぎらり。避ける様に影を歩く。クモの巣が顔面にべたり。よしよし、この様子なら大丈夫。
足下から渓魚が逃げた。あまり大きくなかったな。失敗するとそう思う事とする。
水量も十分な流れにミノーをキャスト。工房青島、流。使い勝手が良いから出番が多い。結果、良く釣れる。バイト。ウエダSS52EXLを素早く起こすとブルブルと渓魚の生命感が伝わる。大抵、一匹目はすんなり獲れるもの。例に漏れず、キャッチ。この渓には堰堤が無い。放流魚の末裔か?見馴れた姿形に喜んだり、少しだけ残念だったり。釣り上がる。
原種とはどんな魚だろうか。意外と今釣ったのがそうかもしれない。
岩盤が深くえぐれている。立ち位置が良くないが、あそこで出てくれれば掛かる。駄目か。ミノーが深みから出てくるのが見える。そのミノーが見えなくなった。合わせだ、巻きだと忙しい。一匹目よりも大きい。大抵、逃げられるケースだ。が、キャッチ。良型に喜び、写真を撮る。釣りもそうだが、写真も実に難しい。
記録の域を出ない画を収める。余り長く水から上げているとね、弱るからね。などと誰に聞かせるのか、言い訳を考えながら更に釣り上がる。
今のは一匹目よりも原種だったかな。根拠無く思う。
だから、良型を一つ釣っただけで良い気になっているからこんな事になるんだ。岩盤に当たった太い流れが二つの石の間を競う様に通ってくる。このポイントで何故、気を引き締めて行かない。でもね、バイトしなかったよ。あの銀鱗はバイトだろ。いや、喰ってなかった。違う、喰わせられなかった。解ってます。仕方ないじゃないか。はいはい。一人です。念のため。
未練がましくダウンで誘っても出ない。
次、行こ。
でかかった。
えっ。秘密兵器?秘密です。